デマ訂正記事を書くことに意味はあるのか?チーター問題の記事のケースで考える

今年の春に"「チーターの99%が中国人」はデマである"というブログ記事を書きました。
正直なところ記事公開からしばらく界隈をウォッチして感じたものは無力感でしたが、
最終的に大元の記事の見直し・訂正が行われることになり、
googleでそれらしい単語で検索すると訂正記事が見つかる程度の状態になったため
一定の意義はあった行動だったかなと思っています。

個人的な感想の話はさておき、訂正記事を公開してから半年ほど経ったので
デマ訂正記事によってどの程度効果があったのか数字的に検証してみたいと思います。

というわけでそれらしいグラフを作って考えてみました。

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チーター 99 中国人」または「チーター 99 中国」のTwitter検索ヒット数(累計)

チーター 99 中国人」または「チーター 99 中国」をTwitterで検索し、
ヒットしたツイートの数を累計しました。
起点は大元の記事の掲載日の2017年12月22日となり、
それ以前に「チーターの99%は中国人」という情報がないことも確認できました。

なお、リツイートを一切考慮していない集計方法であることからも明らかですが、
これはTwitter上に「チーターの99%は中国人」という情報が拡散されていった様子を
正確にトレースしたグラフではありません。
あくまでTwitter検索にヒットした関連ツイートの数を累計しているだけのものです。
Twitterは時系列的に過去データを収集するのが非常に困難なため、
今回はこの集計方法で近似的なデータが期待できると考え集計を行いました。

PUBGでチーターが猛威をふるっていた2017年~2018年前半、R6Sの中国進出騒動、
StylishNoob氏発言などの出来事がグラフがグンと上がっている時期と一致するため、
まあ大体合ってるデータとみていいのではないかなと思います。

赤い点は検索に引っかかったツイートの日付を表しています。
ヒットするツイートがない日には赤い点が付かないため、
赤い点が少ない期間は鎮火状態であると言っていいと思います。
現在でもチーターの99%が中国人であるとするツイートが散見されるため
グラフはわずかに右肩上がりの状態です。

 

グラフを見た印象としてはデマがあまり語られなくなってきているように見えますが、
現在はチーターや中国に関する話題が落ち着いているようにも思うので、
訂正情報が周知されたのか単に一時休眠しているのか不明瞭な印象も受けます。
もう半年か1年ほど経過してからもう一回見てみる必要がありそうです。

現状としては評価保留ということで記事を終わります。

音楽感想文:アタリメ 『グライダー / ライン』 (2018夏コミ頒布)

アタリメ 『グライダー / ライン』 (2018夏コミ頒布)

アタリメ Official Site

 

#1 グライダー
この曲のサビを聞くたびにかつて存在した長野県出身のバンドTHE PANの
「二人だけの道」って曲をめっちゃ思い出します。

青春ダース

青春ダース

  • THE PAN
  • ロック
  • ¥1800

music.apple.com


全然ジャンル違いの所謂「青春パンク」ですし偶然わずか似てるだけの話なのですが、
自分がキッズだった頃によく聞いてた曲と脳が勝手に連結してしまいめちゃくちゃノスタルジーに浸っちゃいます。
なんか関係ない話で感想終わりかけてたけどめっちゃ夏っぽくていいですね。(強引な締め)

 

#2 ライン
こういう系の音を語る語彙を持ってないのであれなのです音がめっちゃ気持ちいい。
最初のピアノ+ボーカル+パーカスの時点でもうこれ好きって感じ。
サビのとこで鳴ってるパーカスのクラーベみたいなやつ好き。
ピアノ+シンセベース+ドラムの存在が最初から最後までずっとサウンドを引っ張っていて安心感MAXなのですが、
アコギとかこっそり鳴ってる音がもうちょっと存在感出てくるともっとゴージャスな雰囲気の曲になりそうとか思った(小並感)

 

総評的なのは割愛。

音楽感想文:アタリメ 『私の気持ち / 白昼夢』 (C96 (2019夏) 頒布)

アタリメ 『私の気持ち / 白昼夢』 (C96 (2019夏) 頒布)

アタリメ Official Site

感想文2個目の時点で記事タイトルの表記の仕方に後悔して少し直しました。

 

#1 私の気持ち

『Sweet Serenade』(2019春M3頒布)の「パステル」からこの曲の流れからすると
こういう方向に固まってきた感じなのかな?という印象を受ける曲。
この曲も全体で一二を争うくらい好き。裏で暴れ回るベースラインがいいですね。
ギターソロ後の静かなとこのトライアングルとかもニヤニヤしちゃう。
アウトロの「ねえ」「気付いて」のとこも好き。

 

#2 白昼夢

『Daydream Pancake』収録の同名曲のセルフカバー。ノリノリバージョンですね。
確かにテンポ結構速くなった気がするなあとは思いながら聴いてましたが
元の曲に戻ってみると「え、テンポ遅い!?」ってすごい不思議な気分に。
こう2つ並べて聞いてみるとこっちのセルフカバーバージョンの方がしっくりくる気がしますね。

 

総評的なのは割愛。

音楽感想文:アタリメ 『Sweet Serenade』(2019春M3頒布)

アタリメ 『Sweet Serenade』(2019春M3頒布)

アタリメ Official Site

#1 パステ
今回のM3で入手したCDを一通り聞いてみた感じ、第一印象としてはこの曲が一番好きで耳に残った。
サビの「ちょっと恥ずかしがってタリラ タリラ 恋をした」のところだけでも1日リピートして聴いてたい。
ピチカートとかグロッケンの使い方がめっちゃそれっぽくて気持ちいい。
あとシンセの使い方すごい好き。サビ終盤のフヨフヨいってるシンセとか。

 

#2 Vital Refrection
キャッチーなイントロで「おおっ?」ってなってからのAメロ部のバンドの演奏と歌声の探り合いみたいな緊張感のある雰囲気すごく好き。
一回りした後のグリッチの入り方もめっちゃかっこいい。
なんというかギターの押し引きのセンスみたいなのがめっちゃいいですね。
アウトロで「そういえばこのキャッチーなイントロから始まった曲じゃん!(笑)」ってなってそのまま終わるのがちょっと面白い。
聞いてるだけで自分だったらこのアウトロ引っ張っちゃうなあ感溢れてくる。

 

#3 泡沫トリップ
「うたかたトリップ」。うたかたをPCで変換するまでほうまつって読んでました(小声)。
やさしいタッチの歌声がいい雰囲気。ギターも「これこれ!」っていう実家のような安心感ありますね。
ここまで2曲は「誰だこの人たち!?(ド失礼)」みたいな所あったけどこの曲はいかにもアタリメ節って感じですごいほっこりするので実はかなり好き。

 

#4 White Wing
視聴で聞いた時点で「あっES-335おじさんだ」みたいなとこありますよね(爆)。
途中の静かな雰囲気になるとことかギターの入りはSteely DanのAjaの3分過ぎくらいのとこの展開みたいだよね!とか
エレピで気持ちよくなるとこのギターのヴォイシングでニヤニヤ止まらないね!みたいな早口オタクになっちゃう危険なやつ。当然大好き。

 

#5 セレナーデ
CD全体のアウトロみたいな感じのやつ。
ピアノ弾ける人の引き出しって感じでいいですね。そのうち水月陵みたいな曲とか作ってくれそう。
「はつゆきさくら」のサントラみたいなのやってくれたら絶対買います(オタクなのですぐ話が飛ぶ)


全体の感想
「PLASTIC SQUID」辺りまではコンポジションに関してはどちらかというと素朴な印象を受けるサークルだったんですけど(これは決して悪い意味で言っているわけではないです)、どんどん複雑化して手の込んだ曲作る人たちに鬼進化してくなあと。
次どんなのくるんだろう!?ってのが毎回楽しみになります。

「チーターの99%が中国人」はデマである

強烈な記事タイトルになってしまいましたが、丁寧な書き方を心掛けたいと思いますので是非ご一読頂けたらと思います。

 

 

最近Apex Legendsのチーター問題に激怒したStylishnoob氏が中国隔離について発言したことで、中国人によるチートの酷さに関する話として「チーターの99%は中国人である」という話が再燃しています。この話はTom Clancy's Rainbow Six Siegeの中国進出騒動でも大きく騒がれるなど定期的に再燃しているようで、恐らく今後もチートや中国に関して話題になった際に語られ続けるのではないかと思います。

 

私はこういった話をする時には大元のデータを自分で見ないとどうしても気持ち悪くなってしまう人間なので、「99%が中国人」は本当なのか、という点について個人的に調べてみました。

 

jp.ign.com

 

automaton-media.com

 

Twitterで眺めた感じ、この話が語られる際にソースとして主に引用されているのはこの辺りでしょうか。基本的に信用できるソースという印象の発信元ではあります。

 

この記事は英語記事からの情報ということなので、
ソースとされているkotaku.comの記事を見てみましょう。

https://kotaku.com/99-percent-of-battlegrounds-cheats-are-from-china-play-1821513424

Majority of Battlegrounds Cheats Are From China, PlayerUnknown Says [UPDATE]
Many PlayerUnknown’s Battlegrounds players blame the game’s cheating problem on China. They’re not wrong, says the popular battle royale game’s creator Brendan Greene.But there’s more to it than that.

 訳してみます。

PLAYERUNKNOWN氏発言「大多数のPUBGチートは中国から」

多くのPUBGプレーヤーが中国のチーター問題を非難しています。彼らは間違っていないとBrendan Greene(注:PLAYERUNKNOWNの名で知られるゲームクリエイター、PUBGの生みの親)は言います。それだけではありません。

 

“Battleye have already tweeted out that I think around 99 percent of cheats in the game right now are coming out of China,” Greene told Kotaku by phone.

[Correction - 12:45 pm, 12/22/17:
While Greene says that the majority of cheats are from China, the 99 percent figure he cited was from Battleye, an anti-cheat provider, which we accidentally omitted from this story. We apologize for the error.]

 

「BattlEye(注:PUBGでも採用されている著名なアンチチートシステム)がすでにツイートしているが、現在ゲーム内の約99%のチートは中国産と思われる。」Greeneは電話でKotakuに語りました。

[2017年12月22日12:45訂正]
Greeneは大多数のチートが中国からのものだと言っていますが、彼が引用した99%という数字はアンチチートプロバイダBattlEyeからのものだというものでした。記事から誤って省略していました。誤りをお詫びします。

 

ここまでは日本で報じられている情報とほとんど変わりはありません。
更に調べていきましょう。

 

2018年2月16日にredditに興味深い投稿があります。
99% of banned PUBG accounts come from China, where selling illegal plug-ins has turned into a pyramid scheme : PUBATTLEGROUNDS

drainX
I have heard the "99% of banned account are from China" claim mentioned before,
but haven't been able to find a source for it. The only figures I have managed to find sources on are the following:

99% of the hacks are created in China.[1]

The "vast majority" of banned cheaters are from China. [2]

Can anyone find a source on the "99% of banned account are from China." claim?

[1]

https://steamed.kotaku.com/99-percent-of-battlegrounds-cheats-are-from-china-play-1821513424

[2]

https://twitter.com/thebattleye/status/918734703183659008

 

drainX
「BANされたアカウントの99%が中国のものである」という主張を聞いたことがありますが、そのソースを見つけることができませんでした。
私がソースを見つけることができた唯一の数字は以下の通りです:

チートツールの99%は中国で作成されています。
https://steamed.kotaku.com/99-percent-of-battlegrounds-cheats-are-from-china-play-1821513424

BANされている不正行為者の「大多数」は中国出身です。
https://twitter.com/thebattleye/status/918734703183659008

誰か「BANされたアカウントの99%が中国からのものである」という主張のソースを見つけられますか?

 

また、その翌日の2018年2月18日にも興味深い投稿があります。

 

BattlEye公式声明「"99%のチーターが中国人"というYouxiの記事は捏造」
Official BattlEye statement showing the, "99% of cheaters are from China story", from Youxi Story is bogus. : PUBATTLEGROUNDS

 

https://i.redd.it/wroog81dmng01.png

 

なんと、「99%」のソースがないどころかBattlEyeが真っ向から否定しているというのです。(このメールのスクリーンショットでリンクされているTwitterでの発言は↓)

 


ここでkotakuの記事の話に戻ります。記事の最後の方をよく見てみると、重要な更新情報が記されていました。

Update - 12:45 PM, 12/22/17:
We’ve changed the headline of this article from “99 Percent of Battlegrounds Cheats Are From China, PlayerUnknown Says” to
“Majority of Battlegrounds Cheats Are From China, PlayerUnknown Says” since the 99 percent figure was actually someone else’s figure that PlayerUnknown cited.

 

[2017年12月22日12:45更新]
記事の見出しを「PLAYERUNKNOWN氏発言『99%のPUBGチートは中国』」から「PLAYERUNKNOWN氏発言『大多数のPUBGチートは中国』」に変更しました。PLAYERUNKNOWN氏が引用した「99%」という数字は実際には(注:BattlEyeではなく)他の誰かが出した数字だったためです。

 
先に引用した部分の訂正情報で何故kotakuがお詫びしていたのか引っかかっていた人がいるかもしれません。あのお詫びは、この更新情報を見る事で意味が通ってきます。


どのような内容だったものが今の内容に書き換わったのか分かりませんが、おそらく「PUBG運営の内部情報をソースにPLAYERUNKNOWNが99%と発言した」ととれる記事の書き方だったものが「実際には『BattlEyeのツイート』をソースに発言していたものの、そういったツイートは存在しなかった」という事なのです。

 

ということで、「99%は中国人」という話はソースなしのデマであると結論付けられます。

 

とはいえ、BattlEyeが「大多数は中国」と発言している事実は変わっていませんし、体感的なものとしてもチーターの大多数は中国系であるという印象はあります。私が言いたいのは、Twitterで散見される「中国を排除することで99%のチーターが排除できる」というような発言は余りにも不正確で雑だからやめようね、という話です。

 

追記:完全に書き忘れていましたがAUTOMATONやIGNが不正確な日本語記事を公開し続けている事もこの謎情報が蔓延している一因だと思いますので、記事の内容について検証して頂きたいです。

 →徐々に正されていけば程度に思っていましたが、2019年3月17日に新たな「チーター99%中国人」をそのまま引用した記事がAUTOMATONから出てきてしまったので、3月18日にAUTOMATONに問い合せを行っています。同日中に編集部から当該記事の見直しを進めていくとの返信がありましたので現在進展待ちです

 →2019/4/4に訂正して頂けたようです。ありがとうございました。

 

追記2:drainX氏の発言「99% of the hacks are created in China.(チートツールの99%は中国で作成されています。)」についてですが、この発言のソースとして使用されている記事は「99%は中国人」のソースとなったkotaku.comの記事と同一です。つまり、こちらの99%の根拠も『存在しないBattlEyeのツイート』になり、drainX氏の発言も正確ではないことになります。この記事の話の本筋からは離れるのでこの点の突っ込みは省いていましたが、「99%が中国で作られてるなら云々」というレスポンスをツイッターで見かけたので追記しておきます。