Nutubeアンプを自作してみた話

去年か一昨年にNutubeを買ってきてテストで回路を組んだもののその後ずっと放置していてもったいなかったので、ステレオ仕様のNutubeアンプを組んでみました。使うイメージとしてはシンセやアンプシミュからオーディオIFに入力した楽器の音をこの回路にセンドし、Nutubeを通した音として味付けしてオーディオIFに戻す感じです。音があんまり気に入らなければAxe-FXのセンドリターンにでもつなげてギター用の歪みエフェクターとして使用しようという考えもあり、オペアンプ周辺にスイッチでオーバードライブ回路に変わる仕組みもくっつけておきました。

 

回路の構成としてはオペアンプブースター(スイッチでオーバードライブ回路ON)→Nutube→バッファな感じで、ほぼほぼ基本中の基本みたいな初歩的な回路になっています。ケース加工が面倒なのでツマミ類は極力減らし、EQ機能も付けませんでした。ブースターと言いつつブーストする気もそんなにないのでGainツマミも付けず、調整するときは基板上の半固定抵抗を回す仕様にしています。回路的にはブーストやオーバードライブができることになっていますが、どっちかというと「そういう機能もなくはないバッファ」のような雰囲気です。(正確に言うとNutube回路によって増幅されているので「バッファ」ではありません)

 

一応回路図はこんな感じです。

基板①(オペアンプ基板)

基板①

基板②(Nutube基板)

基板②

基板③(電源基板)

 

基板③

電源はセンタープラスの5Vアダプタを使い、±15VのDCDCコンバータ(2個)を動かしています。
片方のDCDCコンバータは±15Vの電源としてオペアンプに送り、もう片方のDCDCコンバータは-15V出力を接地して+30Vの電源とし、Nutubeのアノードに送っています。NutubeのフィラメントにはEneloop直列3本(公称1.2V×3個=約3.6V)を使用し、フィラメント抵抗は180Ωとしています。

電源アダプタは元々もう少し高い電圧のものを使用する予定でしたが、ちょうどパーツを購入していた時に通販サイトで欲しいDCDCコンバータの在庫が微妙に足りなかったので在庫があった5V入力のDCDCコンバータを使う仕様に変更しました。

 

とりあえず基板をElecrowに発注。2週間程度で到着しました。

 

組み終わり通電してみたところNutubeが光りました。無事動きそうな雰囲気で一安心。


インプット/アウトプット用の端子も取り付けて音を出してみたところ、左右のchでそこそこの音量差があり、オペアンプのブースト調整で音量は揃いましたがこの原因は一体何だろう…と調べてみたところ一か所はんだ付けが不完全なコンデンサがありました。きっちりはんだをやり直したところオペアンプのブーストなしで左右chのボリュームがだいたい一致しました。

 

NutubeデータシートのEa-Ia図を見た感じ、Nutubeのアノード電圧を30Vにするならアノード抵抗は150kΩ~300kΩ程度にするのがよさそうな感じ。自分は150kΩにしてみました。

 

試しに1kHzのサイン波を流してWaveSpectraで見てみました。

これが「倍音が出てる」ってやつでしょうか。


実際にこのアンプを通した音を聴くと何となくいい音になったような気がします。
ということで完成!…と言いたいところなのですが、Nutubeアンプを通してオーディオIFに戻した音を確認していて気付きました。

 

「これ、位相反転してんじゃん…」

 

実は、この増幅回路ではNutubeを通ったときに波形の位相が反転します。(『実は』なんて言うような話でもないですが)

本当はオペアンプで反転させる設計にしときゃよかったんですよねこれ。
まあ位相反転くらいオーディオIFで対処できるからいっか…ということで運用でカバーしていますが設計失敗しているものをそのまま使っているのはあんまり気持ちよくないです。

あと、組んでいるときに思ったのですが、使うアダプタが5Vならフィラメントの電源もアダプタから取ってくる方が楽ですねこれ。フィラメントは41Ωなので5V電源ならフィラメント抵抗を250Ωにしてあげればよさそう。グリッドバイアス抵抗は33kΩ→20kΩにして可変抵抗の前か後に10kΩの抵抗を付ければいい感じそうな気がします。

あんまり良くなかった点もいくつかあったので、また気が向いたら改良版を作ってみたいと思います。

あと基板の作り方が全然分からないので直した方がよさそうな所があったらアドバイスください。