Hifiman Jade II を買った話。
2020年頃から少しお高いヘッドホンが気になっていたのですが、いろいろ見ていたところ静電型ヘッドホンという存在を知ってしまい、勢いで購入しました。
それまで使用していたヘッドホンはAKG K702、audio-technica ATH-M50xあたりなので音に関する感想は完全に素人レベルです。
■静電型ヘッドホンって何?って話
普通のマイク(ダイナミックマイク)の他にコンデンサマイクやリボンマイクが存在することはマイクに少し興味がある人なら聞いたことがあるかもしれません。
マイクとスピーカーは「音(振動)→電気信号」「電気信号→音(振動)」の変換器なので、お互い動作原理は同じです。中学物理でいう「電流流したらモーター動いた」「モーター手で回したら電流出た」ってやつですね。
コンデンサマイクが存在するということは逆にコンデンサスピーカーが存在できるということで、静電型ヘッドホンというのはコンデンサマイクと対になる音声出力装置になります。(なら「リボン型ヘッドホン」なんてのもあるのかなと思う人もいるかと思いますが実際に存在するそうです)
コンデンサマイクがマイクとして作動するためにファンタム電源を必要とするのと同様に、静電型ヘッドホンも動作のための別途電源が必要です。そのため、普通のヘッドホンのように再生機器のヘッドホン端子に静電型ヘッドホンを直接接続することはできず、間にアンプを挟む必要があります。
■注文〜届くまで
■家に届いた第一印象
バカみたいにでかくて笑っちゃった pic.twitter.com/b7ynQfUl1s
— ちりーん (@chili_in) August 26, 2021
身長5mくらいある人向けのヘッドホンを間違えて買ったのかなと思うくらいでかいです。
アンプがでかくて重いというのは聞いていたのですが、ヘッドホン部分もそれまで自分が使っていたやつの倍くらいありました。
自分はでかいガラクタを部屋に設置するとテンション上がるタイプの人間なので幸せなのですが、
逆に心の底からうんざりする人もいるだろうなと思わざるを得ないサイズ感なので、興味がある人は可能であれば実物を見てから買った方がいいと思います。
アンプはほんとに重いので卓上に設置するのは少し躊躇します。
■音
普通にいいです。(それまで持っていたヘッドホンの10倍くらいの価格なので当たり前といえば当たり前ですが)
「静電型の宿命として低音が弱い」という評判はよく見ましたが、EQをかけても物理的に低音が出ないというわけではないので、ブーストすればある程度フラットになります。
とはいえ素の状態では低音がやや弱い感じは否めないですし、
(https://alpha-audio.net/review/live-stream-replay-multi-test-headphones/3/ より)
この辺の情報を見てみた感じとしては、正確な低音の再生という点ではやや難点があるのかなとは思います。ハイエンドのヘッドホンは他に1つも持ってないので低音の特性が良好な機材と聞き比べてみたいところです。
情報量に関しては流石に豊富さを感じます。それほど劇的に音の解像感が上がったというような感覚でもないのですが、音が横方向に従来比1.5倍ほど広がった感じというか、各楽器がよりはっきりと分離して聴こえます。
色々と手持ちの音源を聴いてみると、比較的最近の音源よりは少し古いジャズみたいな音源で今までの環境よりも特に気持ちよく聴こえるようになった気がします。
オーディオ趣味の人が高価な機材で古い音源を好んで聴いているのが正直よくわからなかったのですが、実はこういった音こそ原音を再生する能力の差が出てくるのかもしれません。
持ってるCDでいうとJohn ZornのNews for Luluなんか正直レア盤扱いになってるからみんな過大評価してるのでは?くらい思っていたのですがJade IIで聴き直してみるとめっちゃ気持ちよかったです。Hank's Other Tuneとかめっちゃいい曲、いい演奏ですね。
魅力がわからなかったアルバムといえばHoward RobertsのAntelope Freewayなんかもいい感じに聴けるか!?なんて思って聴き直しましたがこの辺はまだ少し厳しそうです。というかこのCDと和解するのは一生無理かもしれません。
気持ちよく聴けるようになった音源がある一方で、以前のヘッドホンでは音の悪さは特に感じていなかった音源が残念に聴こえはじめることもありました。悪い音源は18万のヘッドホンで聞いても1万の音からグレードアップしないというか、安い機材で聴いた時のリスニング体験からの伸びしろがないですね。
今のところ「静電型はスピード感がすごい」とか「高音のきらびやかさ」といった他のレビュアーがよく言っている表現に該当する感覚は特に感じていません。もう少し耳を慣らすかエージングの必要があるかもしれません。